ボーディングスクールの伝統 大学受験対策クラスはありません

<6/10のブログの続きです>

前回のブログでアメリカ、高校としてのボーディングスクールには大学受験のための特進クラスはないと述べました。その代わりに大学で学ぶべきことや、一般クラスよりも難易度の高い学習内容のAP(Advanced Placement)クラスがあり、APクラスを多く取ることが大学受験にプラスの影響を与えるわけですが、APクラスの多寡が大学合格の切り札にはなりません。

 

大学受験のプロセスがアメリカと日本とでは、根本的に違います。日本の共通テストのような合否を決定するようなテストというのはアメリカにはありません。

アメリカの大学受験で求められるSAT(Scholastic Assessment Test:国語としての英語、数学学力テスト)は、あくまでも合否の1要素であり、SATのスコアで合否が決められるわけではありません。

アメリカを代表するボーディングスクールにPhillips Andover Academyがありますが、この学校には300を超えるクラスが9年生(日本の中学3年)から12年生(同高校3年)の生徒のために用意されていますが、SAT対策クラスはリストにはありません。

Andoverのみならず、ボーディングスクール全般でSAT対策は主要なテーマとして取り上げられることはありません。その理由は、彼らが教育の根本としている「考える力」、「視点と独創性」、「創造力」といったことにSATが直接かかわっていないからです。少人数クラス、寮生活でボーディングスクールが生徒に教えたいのは、SATで高得点を取る技術ではなく、生徒たちが将来を切り拓く力、であり生きる力であるからです。ゆえに、英語力と数学力を計るSATについては、日々の授業や学校での生活を通じて、生徒が自分自身でその対策を考えるのであり、必要であれば、適宜先生にアドバイスを求めるということなのです。

つづく