身近な自然

留学コンサルタントとしてアメリカの東海岸地方を中心に1年に10回ほど英語圏の国々のボーディングスクール(寮生活を中心とした私立初等、中等教育機関)を訪問していた2010年代、ニューヨーク市から車で1時間くらいのところにあるプリンストン大学の隣にあるボーディングスクールに訪問した時のことです。

ボーディングスクールの本校舎から裏庭を見ると、そこに鹿の親子数匹がのんびりと散歩をしていました。同行した日本からの留学希望の生徒とそのお母さんはその光景に一瞬言葉を失い、数秒間口をポカンと開けて見入っていました。

「学校で鹿飼っているんですか」と生徒からの質問をそのまま、アドミッションスタッフにぶつけると、「いいえ、彼らは野生の鹿です。彼らがキャンパスを歩いているのは珍しいことではありません」とのことでした。

ところ変わって東京。

そこから、羽田空港首都高速道路で通過し、アクアライン経由で千葉県、木更津を経て君津市の山間に私の息子たちの養蜂場が3か所あるのですが、東京の中心部からそこまで高速道路を使えば1時間はかかりません。

息子たちが始めた養蜂業も2023年で10年になりますが、この東京の近郊にも鹿、猪、キョン、猿、更には、ムササビ、タヌキ、アナグマなどの野生動物がいます。前述のキャンパス鹿親子との違いは、日本の野生動物は、昼間は親子でのんびりと人前に出ることは少なく、彼らの活動時間はおおよそが夜であることです。

留学コンサルタントを引退して3年半になりますが、現役時代、オフィスは東京でしたので、野生の動物に会うことはありません。アメリカの東海岸マサチューセッツ州コネチカット州を中心にボーディングスクールを訪問する度にその自然に大いに感動し、自然のなかで寮生活をしながら学ぶ子どもたちの「環境」を日本の生徒や彼らの親に紹介できるコンサルタントという仕事に喜びと誇りを感じていました。

それを終えて、東京を離れ、その近郊に豊で手つかずの自然があることに改めて驚きと喜びを今、感じています。