これからの家族3 - 「3低」時代の留学

私の会社の経理を見てくれている税理士さんがユニークな新聞記事を紹介してくれました。日経に掲載されたそうですから、皆さんのなかにも読まれた方があると思います。バブル時代の女性の結婚相手、「3高」から、女性の意識ががらりと変わり、「3低」になったというのがその内容です。3低とは、「低姿勢」、「低依存」、「低リスク」だそうです。

 

これからの男子は、威張らず(低姿勢)、自分のことは自分でできて(低依存)、会社が倒産などしても路頭に迷うリスクを負わない(低リスク)、すなわち手に職があるという主旨が書かれていました。自立した女性にしてみれば、「当たり前でしょ」と言われそうですが、いちいち「低」の心得が求められる今どきの男子、ぜひ真摯に3低を受け止めてもらいたいと思います。

 

この3低という概念は男性だけでなくかなり普遍的な人の生き方を含んでいると私は思います。見ず知らずの土地で、見ず知らずの人と接し、まして見ず知らずの

言葉、食べ物、習慣などと続く留学の初期状態で、威張りたくても威張れないのが留学生です。もちろん、威張る必要などありませんが、新たに生活を学ぶという意味では、低姿勢は文化をこえた不可欠な要素でしょう。

 

低姿勢と自己主張は違います。低姿勢でも自己主張は明確にできます。

 

留学における低依存は、自明の事柄ですから、説明の必要すらありません。そして、低リスクですが、これはこれからの世界に求められている概念ともいえるのではないでしょうか。ボーディングスクールにおける生徒指導の根本、You are specialやmake a differenceをそのまま応用すれば、こうなると思います。特に大量生産、大量消費が全く実情に合わなくなった日本においては、スペシャルなもの、オンリーワンであることなどがどんどん市民権を獲得しつつあるように思います。

 

しかし、実際はスペシャルとかオンリーワンというのは、ジェネラル(一般的)やメニイ(たくさん)よりも難しく、それにいたる道は決して簡単ではないと私は思います。

 

もし、子どもたちが小さな頃から知識を増やすことを学習という名のもとに訓練され、テストの点数が高いことが優れた人という価値観を教育されれば、どこにオンリーワンを見出せというのでしょう。どこにスペシャリティーを発揮せよというのでしょう。

知識量の競争に勝つことが現代教育のすべてとは言いませんが、多くの子どもたちが、そのやり方に行き詰まっていることも事実と思います。

 

子どもが幼少の頃から、彼らのスペシャリティーを認め、育て、オンリーワンのプライドを持たせるように導くこと、それが教育の原点にあると思います。子どもが幼少でなくても、スペシャリティーは必ずあり、オンリーワンとして大切にできることも、

家族であるならたくさん探し出すことが可能です。もちろん、「ある」というポジティブな前提に確信を持つことが、親の基本姿勢にあることは言うまでもないことです。

 

留学を決意した本人と家族に、英語圏で通じるスペシャリティーを探すこと、私が基本においているコンサルタントのこころ構えです。これからの家族のために、このこころ構えを十分に発揮したいと思います。