なぜ学校訪問が重要なのでしょうか―2

ボーディングスクールの入学プロセスで日本のような「入学試験」がないことを前回のブログで述べました。日本の私立中学、高校の入試で重要視されるのは、学力と思いますが、一回の試験結果で志願者を判断することへの弊害や疑問も多くあるのではないでしょうか。

多くの出願者をなるべく客観的、かつ公平に判断するために数字で示される試験の結果は、合理的ではありますが、果たして入学する側と受け入れ側の相性が数値で示されるほどには、うまくかみ合わないこともあり得ると思います。

 

前回のブログでボーディングスクール入試はお互いの「お見合い」よろしく、相互の相性も十分に検討されると私は学校訪問をする度に感じてきましたが、日本の入試に比べて、合格、不合格の範囲がボーディングスクールの場合とても大きく、不思議と出願者の個性と受け入れる学校の個性、特長が合致しているケースが多かったのも事実です。例えば、アメリカの大統領、故J.F.ケネディー氏が卒業したボーディングスクールは、Choate Rosemary Hallですが、この学校に合格した日本人生徒は、学力が高く、絵画の芸術的センスに恵まれていたのに、加えてパブリックスピーチが得意でした。その構成、表現力、そして熱意は、飛びぬけて優れていたように思います。

 

またある日本人留学生はアメリボーディングスクールのなかでも極めて入学難易度の高いと言われるテンスクールズ(10校)のうち、7校を出願しましたが、訪問先校での相性が良いと思われたHotchkiss SchoolとLawrenceville Schoolに合格しました。学校訪問をガイドした私が相性が良いと思った根拠は、本人とアドミッションスタッフとの面談の後、親とスタッフの質疑応答があるのですが、How was the interview?という親側からの質問(私が親に代わってアドミッションスタッフに必ず最初に質問します)に対して、返答の内容が本人とのインタビューでのやり取りの詳細に踏み込んだコメントになっていて、出願者の考え方、大きく言えば人間性にも好意を持ってくれていると感じられたからです。

 

日本の入試の出願から合格発表までが極めて限定的な期日であるのに対して、ボーディングスクールのそれは、9月に始まり、合格発表は翌年の3月上旬、すなわち半年以上の期間にわたって行われます。この事実だけでもアドミッションオフィスが各校の独立した部門であり、常勤の専従スタッフで構成されているということの重要性と必然性がわかります。