ボーディングスクールーその留学効果

10代の教育選択肢を広げることは、現代においては、日本のみならず世界の必然ではないかと思います。すでに、英語圏の受け入れ側、中学、高校ボーディングスクールは世界を視野に、留学生の積極的な受け入れシステムを充実させています。学校はそこで学生徒がいることで成り立っています。教師、施設が充実していても、生徒がいなければ成立しません。これからの時代の生徒減を予測し、英語圏中等教育機関が、留学生の積極受け入れに舵を切ったのが、80年代、90年代です。

 

日本だけでなく、アジアの中等教育機関は、世界にとって英語圏ほど魅力的ではないようです。これからの時代も、日本の中学・高校へ授業料を支払っても学びたいという留学生はそれほど多くはならないでしょう。できれば、留学はインバウンド(受入れ)とアウトバウンド(派遣)を均等に考えてゆきたいですが、日本ではインバウンドは難しい状況です。

 

英語圏ボーディングスクールという中等教育機関の情報を、「正しくオープンに」皆さんに伝えてゆきたいと思っています。そうすることで中学・高校時代の留学を通じて、これからの社会で必要となる英語力を獲得し、進学のみならず社会人としての選択肢を日本を含めた世界に広げ、人間的にもたくましくどこでも生きてゆけるその基礎作りができる絶好の機会と考えているからです。

 

しかしながら、「選ばれた人だけの留学時代」のなごりは今でも残っていて、留学というと、「海外は治安がよくない」、「英語ができないから無理」、「とても一人ではやってゆけない」、「お金がかかりすぎるから無理」

などで、結局中学・高校留学が実現に至るケースは全国でも年間、5000人もいないと思います。

 

中学・高校留学にはさまざまな偏見がありますが、そのひとつに「日本でだめだから英語圏」ということがあります。とても悲しい偏見だと思います。なぜ日本でだめなのかを検証せずに「だめ出し」をするのは、教育的ではありません。教育は決して一方通行ではありません。先生は生徒のよいところを見出し、伸ばすことで、彼らに自信をもたせ結果として、自らの力で社会の役に立つことを考えるように導きます。

 

本来、教育とは「手作り」であり、「手間がかかるもの」であると思います。教育の大量生産も可能ななかで、「どれを選ぶか」ということが真剣に問われる時代ではないでしょうか。それとともに、東大を頂点とした、偏差値基準による進学というスタンダードもグローバル時代に対応しているといえません。これからの時代に求められるのは何か、私はそれを考えつつ、いくつかの留学の効用を皆さんにご紹介してゆきたいと思います。